外資系を使ってみる
料金の値下げに準じて、おそらくスタッフの賃金も下がるはずです。
そうでなければ、派遣元の粗利益は限りなく低下し、その分サービスに影響を及ぼしてしまいます。
賃金を維持して価格を下げれば、おそらく社会保険等の法定福利費の支払いも事実上困難となり、派遣スタッフにその分のしわ寄せが来るのです。
前述の通り、価格の差がわずかであれば、多少高くてもサービスがよいほうを選び、使って損をしないように努めるべきでしょう。
不安定なトライアングル関係派遣をめぐるトラブルは増加しています。
ここでは、なぜそうしたトラブルが発生するのかについて見ていきましょう。
先にも触れたように、人材派遣のシステムがトライアングル(三角)関係で構成されていることが最大の原因です。
派遣先、派遣元、派遣スタッフの関係がそれです。
一般に三角関係はもめ事の多い関係、不安定な関係といわれています。
ですから、m章の「派遣スタッフの特徴」でも紹介したように、働く側の多くが「身分が不安定である」と認めているのです。
また、三角関係が不安定構図であるため、そこにルール化か必要となり、労働者派遣法が制定されたのです。
すなわちその中身は、正式名からもわかるように、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する」法律であり、法律の制定は時機を得たものとして評価されています。
「三角関係はトラブルを生む」との前提に立った考えは正しいといえるわけです。
具体的な事例は後述するとして、トラブルを生む構図をたとえ話をまじえて、簡単に説明していきましょう。
よく世間では、嫁と姑の関係がうまくいかないといった話を耳にします。
間に立つ夫を含めでたとえ話で説明すると、嫁は派遣スタッフ、姑は派遣先、夫は派遣元といった関係があてはまります。
嫁と姑の関係の整理が下手だと、対立の構図ができあがります。
トラブル防止のカギは、何といっても派遣元側に第一の責務があるからです。
では、なぜ、夫の交通整理”がうまくいかないケースがあるのでしょうか。
その理由は、夫にとって嫁と姑の両方が大切だからです。
両者を大切に思うあまり、交通整理がうまくいかなくなっているのです。
これを派遣システムに転換して考えてみましょう。
派遣にまつわるトラブルの相談窓口は?派遣にまつわるトラブルは、正直なところ増加傾向にあります。
原因はさまざま。
不況で閉鎖する派遣先が、一方的に派遣契約の途中解約を通告してくるとか、契約の中身と実際の仕事の中身が遠いと訴えるものとか、派遣先の上司がセクハラして嫌だ、など多種多様です。
これらがトラブルとなってくると、派遣先としても否応なく巻き込まれ、失点を免れません。
そんなときには次の相談窓口を利用するとよいでしょう。
派遣元にとって、派遣先はお金を支払ってくれる大切なお客様です。
他方、派遣スタッフも働いて派遣元の売上高を上げてくれる、第二のお客様との意識があります。
どちらも大切。
しかし、双方が対立した場合、派遣元としては困った事態となってしまいます。
「あちらを立てればこちらが立たず」です。
ゆえに、中途半端な対応となって、そのうちどちらかがプッツンと切れてしまうIIそういったケースがよく見られます。
そうなってしまうと、追い込まれてしまうのが個人であるスタッフです。
解決不能となるとユニオンに駆け込み、事態が深刻化してしまうケースは後を絶ちません。
そのような。
宿命的”な構図をまず理解したうえで、具体的なトラブルのケースを見ていく必要があるでしょう。
2セクハラをめぐるトラブル田盗撮事件への対応最近の事例をちょっとくわしく紹介します。
一九九八年一〇月の中旬、神戸市内の派遣先で働く派遣スタッフ(女性、二八歳)の友人から、筆者の会社の相談電話「エニイタイム」に電話が入りました。
相談の内容は次のようなものでした。
「自分の友人は一一月末までの約半年契約で、市内の上場企業に派遣されていましたが、一〇月上旬のある日、派遣先の女子更衣室で着替えをしているところをビデオで隠し撮りされていたことに気づきました。
警察沙汰となったのですが、派遣先と派遣元の事件に対する対応が十分とはいえず、悩んでいます。どうしたらよいのでしょうか」。
筆者は早速、スタッフの友人から被害者である女性スタッフの連絡先を教えてもらい、直接電話で事情を聞きました。
事件の詳細を被害者から直接聞き出し、関係者の対立の実情を把握する必要があったからです。
それによると、ビデオ盗撮事件が発生したのは上旬で10月、場所は派遣先の就業現場の女子更衣室内で二回行われていました。
犯人は派遣先の男性の中堅幹部社員。
更衣室の上部にビデオをあらかじめ設置して、スタッフが更衣室に入ってまもなく自動的に盗撮できるように仕掛けていたということです。
事件は警察沙汰となりました。
当該スタッフは警察の事情聴取に応じて顛末を説明しました。
しかし、@加害者である派遣先の男性幹部社員が深く反省しているAビデオも証拠品として押収し、再犯の恐れは薄いとの理由で、軽微な始末で処理したとのことです(スタッフ側の説明)。
そのことにより、事件の処理はいわば刑事から民事に移ったわけですが、派遣先独自の事件の解明がいっこうに進展しないことにスタッフは不安をつのらせたわけです。
犯罪行為をした派遣先社員のその後の処遇はどうなっているのか。
ビデオは押収されたといっても、コピーされている心配もある。
そして、なによりくやしい。
自分を雇用しているはずの派遣元は一応話を聞いてくれるが、結果的に「あとは自分の好きなようにしてほしい」というだけだというのです。
派遣先も、刑事事件を免れたことで事件は}応解決と判断したのでしょうか。
事件のその後と彼女に対する対応は、被害者本人の心を十分に癒すには至らないまま、時間がいたずらに過ぎ去ってしまったのです。
このため、スタッフの心には、企業側の都合でこのままウヤムヤにされてしまいかねないという焦りと不安が交錯して、眠れない夜が続きました。
そして最終的に、中立的な第三者機関に相談することを選んだというわけです。
そこで、筆者は派遣元に電話を入れました。
派遣元責任者は一三歳の営業店長。
率直に話を聞いたところ、どうやら事件でパニックに陥っていたのはこの営業店長も同様のようで、具体的にどう対応してよいかわからないままに時間がむなしく過ぎていったようでした。
派遣先にも電話を入れると、管理者である部長職が応対しました。
筆者とは直接のつながりがないためか、丁寧とはいえない対応でした。
就業現場で生じたセクハラースキャンダル事件に予想もしない第三者がいきなり介入したため、誤解と不安でどう対応してよいのかわからなかったのかもしれません。
いずれにしても問題がこじれています。
このまま推移すれば民事訴訟に発展しかねません。
そこで、派遣先にはその旨を伝えたうえで、派遣元と派遣スタッフを含めた解決のための話し合いの場を設置すべきことを説きました。
もちろん、曲折はありましたが、結果として事件の当該三者が自主的に解決する方向へと進展し始めたのです。
こうした事件の場合、派遣元の対応が一番のカギになります。
女性スタッフは事件の被害者として不満を露にする以外に手はありません。
派遣先には適正な就業を確保する義務がありますが、このような事件が発生すると、どうしても逃げ腰となってしまうのです。
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